シュトーレンラボVol.3|手を動かすと、シュトーレンの向こうに人が見えてくる
「こんなに、ひとつひとつ手でやっているんですね」
そんな言葉をいただいた、今回のシュトーレンラボ。
カゴノオトでは、1年を通してシュトーレンをつくる時間を一緒に体験してもらう「シュトーレンラボー季節の仕込み体験日ー」を今年からはじめています。
今回は、そのvol.3。3人の方が参加してくれました。

シュトーレンの中に入れるぶどうをフレッシュな状態から仕込みをしていくというもの。

一般的にシュトーレンというと、多くの方は冬やクリスマスのお菓子という印象やはり1番強いと思います。
カゴノオトのシュトーレンは、1年を通してずっと年末のために仕込みをして作っています。
四万十でその時々に実る果物や素材を農家さんから仕入れ、皮をむいたり、刻んだりして、種を取ってという作業をしてクリスマス前までに準備をしていきます。
今回参加してくださった方から、
「仕込みがすべて手作業だということに驚いた」
という感想をいただきました。
カットすることも、種を取ることも、人の手と目で確かめながら進めていく。

機械やロボットがたくさんのことをしてくれる時代ですが、カゴノオトのシュトーレンづくりには、すべてが手作業。
実際に体験してもらうと説明して話すよりももっとリアルに感じてくださいます。
種をひとつ取ることも、皮を刻むことも、今年のシュトーレンをつくる大事な仕事。
今回の仕込みでは、ゆずの種を取る仕込みもしました。
ゆずは昨年の12月に仕入れて仕込むのです。
ほんとはその時に種をとって刻んで粗糖に漬けるまでをしたいのですが、12月のカゴノオトといえば「シュトーレンで大忙し」。
またゆずは収穫後に早くに傷みやすいのでどんどん加工していく必要があります。
なので、その時期のカゴノオトは一度に最後まで仕込むことができず、一度、輪切りにして粗糖に漬けてから半年熟成させたものを数ヶ月経った後に2回目の仕込みをしていくという段取りをしています。
参加した方からは、
「意外と疲れる皮むきや種取り。でも終わった瞬間の達成感があった」という声も。

また、ゆずをフードプロセッサーで細かくする工程では、
「細かさによってシュトーレンの味も変わると思うと、責任感があった」と言ってくださった方もいました。

そんな時間を一緒に過ごすことで、
「自分も今年のシュトーレンづくりの仲間になれたかも」
と感じてもらえたことが、何よりうれしいことでした。
素材の向こうに、農家さんの顔が見えてくる
参加者の方から、
「ひとつの素材の裏にいる生産者さんの個人名やエピソードが出た時、別の場所で買うのとは違う特別なものに見えるようになった」
と話してくれた方がいました。
どこの誰がつくったのかわからない素材ではなく、
「あの方が育てたもの」なのです。
素材は、ただの「材料」ではなくて、この四万十で共に暮らす農家さんたちがいて、その絶え間ない営みのおかげ。それをここで暮らす私たちが仕込んでいく。
そしてそのシュトーレンを、全国のお客さまにお届けしていく。
農家さんとカゴノオトと、お客さまがシュトーレンでゆるやかにつながっていく。
ゆるやかにつながっていくというのがすごくいいなと思うのです。
「ただお菓子をつくって売る場所」ではなかった
参加する前は、
「お菓子をつくって販売する場所だと思っていた」
けれど実際に一緒に手を動かす中で、
「カゴノオトのお店や工房が、農家さんとお客さんをつなぐ原点になっている」
と感じたと教えてくれました。

「生活と仕事が密接に関わっている。生活の中で仕事につながることがおもしろい」
都会のように仕事と暮らしがしっかりわかれていないのがここ四万十の暮らしなんですよね。
ゆっくりと、穏やかな時間
「作業中も後もずっと、ゆっくりと穏やかな時間が流れている」

自分たちは日々これが普通だと思いながら過ごしているけれど、今回も前回もそんな感想をいただきました。
「効率よく進めること。」
もちろん、それは仕事では大切です。
でも、誰かと一緒にゆずの種を取りながら話したり、農家さんのことを話したり、出来上がった仕込みを眺めたり。
そんな時間もとても大事なこと。
そんな時間をまるごとシュトーレンの中に入っていてそれをお届けしたいと思うのです。
四万十から届くシュトーレンの中には、その年の季節と、たくさんの人の手の時間も入っています。
たべてくださる方々もあの季節にこんなことがあったなと思い出しながら楽しんでもらいたいなといつも思っています。
今年も少しずつ、冬へ向かっています。
ご参加くださった皆様ありがとうございました。

この記事を書いた人
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小清水緑
カゴノオト共同オーナー
東京で障がい福祉の現場に携わる中で、多様な人の暮らしに触れる。
自身の「生きにくさ」と向き合い、それもひとつの個性だと受け止められたことが転機に。
できることを大切にしたいと四万十町へ移住。
四万十町で暮らし出会った農家さんが育てる豊かな素材に驚き、大切に育てられた素材をシュトーレンに入れようと思いつきシュトーレンづくりを始める。
四万十の農家さんの恵みや物語を受け取り、季節や思いをシュトーレンに乗せて全国へ届けている。
誰かの1年の時間にそっと寄り添えるシュトーレンを。
社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士
2026年8月23日










