馬車に乗せて運ぶほどの巨大なシュトーレン

こんにちは。

カゴノオトスタッフのあきです。

夏シュトーレンが並んでいる写真

桜が満開の頃、山を見ると桜餅のような丸い形がぽこぽこと可愛らしく見えた四万十ですが、今ではすっかり散り、道がピンク色になっています。

カゴノオトでは、春シュトーレン発送の傍ら、夏シュトーレンの準備も始まって早くも初夏を感じています。

 

突然ですが皆さん、馬車に乗せて運ぶほどの巨大なシュトーレンがあるのはご存知でしょうか?

先月号で、ドレスデンのクリスマスマーケットStriezelmarktについてご紹介しましたが、巨大なシュトーレンが作られたのも、同じくドレスデンでした。

ドレスデンのクリスマスマーケットを俯瞰で撮影した写真

Photo by sontung57 on Pixabay

1560年にドレスデンのパン職人たちが、36ポンド(16kg)のクリスマスシュトーレンをザクセン州の皇帝に献上して以来、1918年に君主制が終わるまで慣習として続いていたそうです。*1

1694年から1733年までザクセン選帝侯(ザクセン公国の君主)だったアウグスト2世は、強健王、ザクセンのヘラクレス、鉄腕という異名がつくほどの怪力で、華麗なものや贅沢品、饗宴が大好きでした。*2

1730年に彼が行った軍事演習では、24000人の招待客をもてなすため、ドレスデンのパン職人ギルドになんと1.7トンものシュトーレンを作るように命じます。

アウグストに仕えていた建築家のペッペルマンは、この巨大シュトーレンを焼くためのオーブンを設計し、それを切るためだけの5メートルほどの巨大ナイフまで準備されたといいます。

Moritzという小さな町には、このシュトーレンを焼くための巨大なパン工場が作られ、10メートルの長さ、幅4メートルのシュトーレンが、8頭の馬をひいて運ばれていきました。*3

ちなみに、このシュトーレンを作るために必要だった材料は、卵3600個、ミルク缶326本、1トンの小麦粉だったとか。*4

ドレスデンでは1994年よりシュトーレンフェスティバルというイベントが、毎年アドベントの第2土曜日に開催されています。*5

そこでも同じように、巨大シュトーレンがお目見えするのです。

その重さは3-4トンほど。

石畳を2頭づきの馬車が走っている写真

Photo by Holgi on Pixabay

巨大シュトーレンは、ドレスデンの街中からクリスマスマーケットの広場まで、器楽隊とともにパレードをしながら馬で運びこまれます。(この場合はさすがに4頭の馬のようです)

小さく切り分けられたシュトーレンは500グラム6ユーロで買うことができ、その売り上げはチャリティに寄付されます。

Grand Dresden Stollen Knifeと呼ばれるシュトーレン用の大きなナイフは、1.6メートルの長さ、12キロの重さで、これも1730年に使用されたものを模しています。(背が曲線を描いて曲がり、形がユニークなので、ぜひ動画や画像でご覧になってみてください)*6*7

2010年には、オランダで72メートルのシュトーレンが焼かれ、ギネス記録認定もされているそうですよ。*8

アウグスト2世の時代から続く巨大シュトーレン、ドレスデンの冬の風物詩になっているのでしょうね。

 

参考サイト、資料

*1:https://www.stollen-online.de/dresdnerstollen/geschichte-eng.htm

*2:https://en.wikipedia.org/wiki/Augustus_II_the_Strong

*3:https://www-teamwork--schoenfuss-de.translate.goog/lotzdorf-impressionen/zeithainer-lustlager/?_x_tr_sl=de&_x_tr_tl=en&_x_tr_hl=en&_x_tr_pto=sc

*4:『シュトレン ドイツ生まれの発酵菓子、その背景と技術』増補改訂版 旭屋出版P.10

*5:https://madamefigaro.jp/series/yukai/201204-dresden-stollen.html

*6:https://www.wikiwand.com/en/Stollen

*7:https://www.iamexpat.de/lifestyle/expat-events-festivals/dresden-stollen-festival

*8:https://www.guinnessworldrecords.jp/world-records/longest-christmas-stollen

 

2022年4月8日

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